COLUMN コラム

【裁判判例紹介】裁判であばかれた不動産投資会社のとんでもない勧誘手口 Part.2

Part.1に引き続き
平成24年3月に東京地裁で開かれた
裁判事例の続きです。

前回は裁判の全体像を説明していきましたが
今回は裁判の内容解説と
この裁判の「実は面白いところ」を説明していきます。

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【登場人物】
Aさん
B社に「不実の事実」を告げられ
区分マンション2戸を買ってしまった
会社員

B社
Aさんになんとか区分マンションを
売りつけたはいいが裁判で契約取り消しを
くらった(いろんな意味で)悲しい会社
―――――

裁判判例

▼断定的な説明はダメ▼

被告である不動産会社社長が敗訴した理由として
「重要事項について不実の事実」について
説明させていただきました。

嘘をついて物件を売ってしまえば
もちろん不実の事実を告げたことになり
本契約解除の対象になるのですが

注目したいポイント
「嘘をつくこと」だけが
不実の事実の説明ではないというところです。

本裁判では
「断定的判断の提供」も「不実の事実」にあたる
とされました。

つまり
将来にわたって変動しうる要因を
断定的に説明することも
不実の事実を告げる行為であるということです。

嘘と同じくらい
断定的な発言には問題があるという判決だったんですね。

意外にもこのような発言をしてしまう営業マンは
多いのではないでしょうか。

▼崩壊しても戸数増やして建て直したらええねん▼

AさんからB社への質問
「最悪マンションが倒壊したら?」

これに対してB社の営業マンは
「同じ場所に戸数を増やして建て直します!
増えた部分の収入も得られるから損はしません!」

と答えました。

判例を読んで、一番驚いた部分です。
正直意味が分かりませんでした。

私が単に勉強不足で
「そんな保険もあるのかな?」など
未だに考えてしまいます。

確かに建物が崩壊しても
土地の持分があるので
その場所に建物を建てれば
収益は得られます。

更に倒壊前のマンションより戸数を増やせば
計算上は収益の増加となります。

一方で
「誰のお金で解体すんねん」
「誰のお金で建設すんねん」
「そもそもローン返済どないすんねん」

と問題の方が多いように思います。

保険などを活用すると
タダで倒壊した建物が解体できて
タダで新築のRCマンションを建てられる
のかもしれませんが
少なくとも我々はそんな保険知りません。

そんな保険が実際にあるのならば
是非お知らせ頂けますとありがたいです。


▼実は”興味深い”判例▼


この裁判はAさん(不動産投資家)が
B社(不動産会社)を訴え
消費者契約法4条1項2項によって
すでに締結済の2件の契約を
取り消した判例になります。

これはよく考えると
「実は当然ではない裁判」
のように思いました。

なぜか?

私は本判決が
「消費者契約法によってなされたこと」
興味深いと思いました。

消費者契約法とは
消費者と事業者間での契約をする際に
消費者に不当に不利益が及ばないように
消費者を保護する法律です。

今回は
消費者 = Aさん
事業者 = B社
となります。

一見、特に変なところはないように見えますが 
ではここで質問です。


不動産投資を行っている(始めた)
Aさんは本当に「消費者」なのでしょうか?

▼不動産投資家は事業者?▼

不動産投資は他の投資とは異なり
事業的な側面も持っている
ことは
実感しているかと思います。

そうであれば
投資目的で不動産を購入する人は
消費者ではなく
事業者にあたるのかもしれません。



本裁判ではその部分は争われず
不動産投資家であっても
当然一人の消費者として扱い
判決が出ています。

もし争点が
「Aさんは消費者なのか」
という形で話が進んでいけば
また異なった判決になっていたかもしれません。



本裁判では
あくまでB社がヤバいから
契約が取り消されました。

一方で
「不動産投資家は当然消費者である」
ことが確定したわけではありません。

もし不動産投資家が事業者と認定されれば
実務上多くの場面で問題が発生します。
(個人的には事業者の認定は難しいと思いますが)

そのためこのような判例については
今後も注意深く追っていく必要がありますね!


今回でこの判例紹介は終了です。

言葉巧みに、とは言えない業者さんでしたが
嘘や断定的な話をうまく使って変な物件を勧めてくる業者もあるので
事例を勉強して騙されない知識を付けていきましょう。

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