空き家を処分したいとき、どこに相談したらいいの?
ボロボロの空き家を相続などで所有されている場合、毎年の固定資産税や近隣とのトラブルなど、何かと費用負担や手間がかかってしまいますよね。
そこで今回は所有してしまったボロボロの空き家をどのように処分したら良いのか、ということについて考えてみたいと思います。
不動産屋さんにも種類があるんです
ボロボロの空き家を所有されている方が処分したい!と思って、一番はじめに思いつく相手は不動産屋さんではないでしょうか?
確かに不動産屋さんに依頼すれば、空き家の売却をしてくれますが、依頼する不動産屋さん選びが重要となります。「不動産屋さん」と一口に言っても、様々な種類があり、それぞれに得意・不得意があるんです。
それでは不動産屋さんにはどのような種類があって、ボロボロの空き家を売却したい場合には、どの不動産屋さんに依頼すればよいのでしょうか。
- 不動産売買専門(売買仲介会社)
不動産の売買を専門に行っている業者さんになります。不動産屋さんが「この不動産を買いたい」という方を探してくれて契約から決済までセッティングしてくれます。いわゆる仲介というかたちですね。
駅前にテナントを構える財閥系の不動産会社さんや大手の不動産会社さんなどに多く見られる形態で、大手の不動産屋さんに依頼する場合は信頼できる取引となるでしょう。
一方で大手の不動産屋さんの多くで、価格帯が安かったり、何かと売りにくい物件に対しては消極的な対応となる可能性が高いです。不動産仲介の報酬はあくまで「物件価格×3%+6万円+消費税※」となるので、物件価格が高いマンションや築浅の戸建・広い土地などに時間を使おうとします。その結果として、土地が狭く、ボロボロの物件に関しては積極的に動いてくれないということがよくあります。
もし所有されている建物がボロボロ+土地が狭い(例えば八尾市ですとだいたい60平米未満)場合は、売却までに時間がかかってしまう可能性があることを理解しておきましょう。 - 不動産賃貸専門
不動産の賃貸を専門に行っている業者さんになります。賃貸物件の情報を集めて、お客さんの希望に合ったお部屋探しをサポートする会社さんです。こちらも(賃貸)仲介と呼ばれています。
駅前にフランチャイズとして店舗を構えていることが多いです。あくまでフランチャイズですので、店舗によって対応や物件情報などにはかなりのひらきがあります。
パッと思いつく不動産屋さんとして賃貸仲介さんを挙げる方も多いとは思いますが、基本売買は行っていない、もしくは得意ではないことが多いので、空き家の売却を相談する順序としては後回しになるかと思います。 - 不動産新築・販売
土地を仕入れて、新築物件を建て、販売する(あるいは注文住宅を建てる)不動産屋さんになります。
この業態の会社さんには「昔は売買仲介をメインでしていたけれど、大手に勝てなくなってきたので、新築に手をのばして、そのまま新築の販売がメインの事業になった」という流れが多いです。
そのため物件の売買仲介については経験があり、会社さんによっては大手さんが扱わない(積極的ではない)小さな物件の仲介でも積極的に動いてくれる場合があります。
会社のHPなどに価格規模が1000万円以下程度の物件が「専任媒介」「専属専任媒介」で多く掲載されている等する場合は、相談してみると大手さんよりも動きが早い可能性があります。
また新築を建てるための土地の仕入れは随時行っていますので、土地面積がある程度広い物件の場合は買取検討をしてくれる可能性もあります。 - 不動産売買・賃貸両刀
不動産の売買仲介も賃貸仲介も行っている不動産屋さんです。昔から地域に根差している、いわゆる「地場の業者さん」が多いです。その地域に昔から住んでいる人は、大手不動産屋よりも地場の業者さんにまずは相談するくらいに知名度が高いというケースも珍しくはなく、決して軽視はできない不動産屋さんです。
一方で世代交代に失敗、または世代交代をしない会社さんですと、「バブルのころはバリバリやっていたけれど、いまはぼちぼちで…」ということもありますので、事前の評判は調べておくとよいでしょう。 - 不動産買取
不動産の買取をメインにしている会社さんです。不動産を買取り、リフォーム等の加工し、再販売する会社さんです。
不動産の買取だけを行う会社さんもありますし、前述した「不動産新築・販売会社さん」や「不動産売買・賃貸両刀会社さん」が不動産買取も同時にしていることが多いです。
多くの不動産買取会社さんは、再販売時の価格が安定していることから、マンション専門で買取をしていますが、中には築浅の戸建や(もっと少ないですが)築古の戸建を買取してくれる会社さんもあります。
買取価格は仲介価格よりもかなり安くなりますが、基本はノークレームですので、物件がボロボロの時は販売後の手離れが早く、その後のトラブルがない分、かえって手残りのお金が多くなることも少なくありません。
空き家は売却だけじゃない!活用も視野に入れて
所有している空き家がボロボロだからもう売るしかない・・・と思うくらいヒドイ状態の物件でも、リフォームさえ適切に施せば活用できるケースが殆どです。
屋根に穴が開いている、シロアリ被害が大きい、傾きがある 等々、物件に重大な被害があったとしても専門家の指導の下、再生し、賃貸物件などにして貸し出しているケースは少なくありません。
ボロボロ空き家を活用するためには、工事費用が100~数万円程度かかることも少なくないので、不動産屋さんだけではなく工務店などの建築寄りの方々の目線が必要になります。不動産屋さんはあくまで物件の流通をサポートする職業ですので、建築・リフォームについてはあまり詳しくないことが多いのです。
一方で工務店にリフォーム工事をお願いすれば、活用できるのかというとそうではありません。工務店の多くは不動産についてはあまり明るくないので、リフォーム完了から賃貸物件として貸し出し、その後の入居者さんの管理をするなどという不動産屋さん的な動きはなかなかしてくれません。
そのため空き家の活用を考える場合には、不動産屋さんと工務店でタッグを組んで取り組む必要があります。
数は少ないですが工務店の中には、賃貸物件としての適切な工事+賃貸管理までをトータルでサポートしている会社さんもありますので、そのような工務店が物件の近くにある場合は一度相談してみるのもよいかと思います。
空き家の出口は「売却」か「活用」、「放置」はダメ絶対!
いままで見てきましたように、ボロボロ空き家を所有してしまった場合には、「売却」か「活用」のどちらかを選んで、物件を適切に流通させてあげる処置が必要です。
業者さんに声をかけるのがめんどくさいから、将来「何か」に使うかもしれないから、別に「今は」困っていないからといった理由で、空き家を放置してしまうと、人の住んでいない家は急激に劣化していきますので、将来的に負動産となっていまい、売りたくても売れない、貸したくても貸せない状況に追い込まれてしまいます。
空き家を所有されている方は、是非素早い行動を心がけ、適切な業者さんと協力して物件を適切な流通経路に乗せてあげましょう。