COLUMN コラム

【裁判判例紹介】裁判であばかれた不動産投資会社のとんでもない勧誘手口 Part.1

今回ご紹介する裁判は
平成24年3月に東京地裁で開かれた裁判です。

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【登場人物】
・Aさん
本裁判の原告
被告が代表を務める不動産会社から
区分マンション2室を購入した個人投資家

・B社
本裁判の被告が代表取締役を務める不動産投資会社
Aさんに区分マンションを販売した
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裁判ではB社が
重要事項について不実の事実を告げたことなどで
Aさんは不利益を被ったとして
購入した2戸の売買契約の取り消し等の判決が下りました。


具体的には


「消費者契約法にいう重要事項について
原告に不利益となる事実を故意に告げなかったため」

とされています。

では「重要事項について不実の事実」とは
いったいどんな内容だったのでしょうか?

裁判判例

・笑っちゃうほど不誠実な質問対応

ある日Aさんは品川駅近くの飲食店にて
B社から不動産投資の話を聞くことになりました。

その際に不動産投資の仕組みや
不動産投資を始める人が増えていること
そして何より

「万が一のことがあっても絶対損しないようになっている」

そう言われたそうです。 

そして別日には具体的に新横浜の区分マンションを紹介され

「あなたのために無理言って新横浜の物件を押さえている」

と言われたため
急かされるように書類にサインをし
仮契約を完了。

後日、手付金を支払い
契約も交わしました。

また流れるように2戸目も紹介され
1戸目同様に急かされながら
無事契約完了。

なんと1戸目契約から
実に15日で2戸目を売る早技!!!

この間にAさんはB社から
不動産投資の良い点ばかり説明されていました。

もちろんいくつかの不安もあったので
営業マンに質問してみることにしました。

[Q&A]
Q:「ローンの返済は問題なくできるの?」
A:返済には家賃を当てるから2戸月々16,000円で返済ができます!保険料がわりにもなる!毎月支払いは小遣い程度!

Q:「B社が倒産したら?」
A:管理組合が存在しているので
  別会社に移管されるようになってます!

Q:「最悪マンションが倒壊したら?」
A:同じ場所に戸数を増やして建て直す!
  増えた部分の収入も得られるから損はしません!



・・
・・・
最初の返答に関してもなんだかとっても怪しいけど
最後はヤバすぎて笑っちゃいますね笑

さらに提示されたシミュレーションをよく見てみると

将来の物件価格が最大10%程度しか下落しない
と誤認させるシミュレーション

家賃が30年以上値下がりしないシミュレーション

など
(1億分の1くらいの確率で)正しい説明も
ちゃんと受けたようです。

このような散々な説明をB社が行ったことによって
合わせ技一本、Aさんが購入した物件2戸とも契約取り消しとなった裁判でした。

裁判の全体像をお伝えしたところで、今回はここまでにします。
次回の記事では本裁判の内容解説をしていきます。